PE9-087|公共・政治経済 対策問題
日本の貿易収支と経常収支の資料を読み取る際の説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 3
正解
貿易収支が赤字でも、海外投資からの利子・配当を示す第一次所得収支の黒字が大きければ、経常収支は黒字になり得る
この問題のポイント
国際収支の構成の理解と資料読解を問う。「貿易立国から投資立国へ」という日本の経常収支の構造変化が核心。
解説
経常収支は主に次の項目で構成される。
- 貿易収支:財の輸出入の差額
- サービス収支:旅行・輸送・知的財産権使用料など
- 第一次所得収支:海外投資から得る利子・配当の受け払い
- 第二次所得収支:無償援助・送金など
かつての日本は巨額の貿易黒字が経常黒字の中心だったが、生産拠点の海外移転や資源価格の高騰・円安により、貿易収支は赤字の年も珍しくなくなった。それでも経常収支が黒字を保っているのは、過去の対外投資の蓄積が生む第一次所得収支の大幅な黒字(年20〜30兆円規模)があるからである。
この構造は「貿易で稼ぐ国から投資の収益で稼ぐ国(成熟した債権国)へ」の変化と表現される。複数年の収支項目の推移表から、この構造変化を読み取らせる問題が頻出する。
ひっかけポイント
「貿易赤字=経常赤字」と即断させる選択肢が定番。経常収支は複数項目の合計であり、第一次所得収支の黒字が貿易赤字を上回り得る。
選択肢の確認
①「経常収支は貿易収支と完全に同じものである」
❌ 誤り。
誤答理由: 貿易収支は経常収支の一項目にすぎず、両者は同じものではない。
②「第一次所得収支は経常収支には含まれない」
❌ 誤り。
誤答理由: 第一次所得収支は経常収支の主要な構成項目であり、含まれないという記述は国際収支の分類を誤っている。
③「貿易収支が赤字でも、海外投資からの利子・配当を示す第一次所得収支の黒字が大きければ、経常収支は黒字になり得る」
✅ 正しい。
正解。経常収支は貿易・サービス収支と第一次・第二次所得収支の合計であり、貿易赤字でも海外投資からの利子・配当(第一次所得収支)の黒字が大きければ経常黒字になり得る。
④「貿易収支が赤字であれば、経常収支も必ず赤字になる」
❌ 誤り。
誤答理由: 経常収支は複数項目の合計なので、貿易赤字が必ず経常赤字をもたらすわけではない。近年の日本がその実例である。
覚えるポイント
- 経常収支=貿易・サービス収支+第一次・第二次所得収支
- 日本は第一次所得収支の黒字が経常黒字の柱
- 貿易立国から成熟した債権国への構造変化
共通テスト攻略
- 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
- 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。