WT4-A16歴史総合・世界史探究 対策問題

世界史探究D 諸地域の結合・変容(3) 帝国主義とナショナリズムの高揚

イランで1891年に起こったタバコ・ボイコット運動の説明として最も適切なものはどれか。

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正解: 1

正解

イギリス人へのタバコ利権譲渡に反対し、利権回収に成功した民族運動

この問題のポイント

イランのタバコ・ボイコット運動の性格を問う問題。「イギリスへの利権譲渡に対する抵抗で、撤回に成功した民族運動」という結果まで含めて判断する。

解説

19世紀のイランを支配していたカージャール朝は、ロシアとイギリスの進出に挟まれ、財政難から国内のさまざまな利権を外国人に切り売りしていた。

1890年、国王がイギリス人業者にタバコの生産・販売の独占利権を譲渡すると、国民の怒りが爆発した。タバコはイラン人の日常生活に深く根づいた商品だったからである。ウラマー(イスラーム法学者)が「タバコ喫煙を禁じる」というファトワー(宗教見解)を出すと、バーザール(市場)の商人から一般民衆まで全国的な不買運動が広がった。これがタバコ・ボイコット運動(1891〜92年)である。

運動の圧力に屈した国王は、ついに利権を撤回した。外国への利権譲渡を民衆の力で覆したこの成功体験は、イランの民族運動の出発点となり、1905年からのイラン立憲革命(議会開設と憲法制定を実現)へとつながっていく。

ウラマーと商人の連携という担い手の構図は、のちのイラン革命(1979年)まで続くイラン政治の特徴とされる。

ひっかけポイント
対象はタバコ利権であって石油利権ではない(石油利権問題は20世紀のダーシー利権以降)。相手はイギリスであり、ロシアとの取り違えにも注意。運動は「成功した」点が正誤の分かれ目。

選択肢の確認

①「イギリス人へのタバコ利権譲渡に反対し、利権回収に成功した民族運動」
正しい。
正解。カージャール朝がイギリス人にタバコの独占利権を与えると、ウラマーと商人を中心に1891年のボイコット運動が全国へ広がり、利権を撤回させた。

②「タバコの喫煙を推進する健康運動」
誤り。
これは喫煙を推進する運動ではなく、タバコの利権を外国人に譲渡したことに抗議して不買を貫いた民族運動である。

③「タバコ農家が減税を求めた経済運動のみで政治性はなかった」
誤り。
運動はウラマーの宗教令を軸に王朝の利権譲渡そのものを批判した政治運動であり、のちのイラン立憲革命につながった。

④「ロシアへの石油利権譲渡に反対した運動」
誤り。
争点となったのはイギリス人へのタバコ利権であり、石油利権ではない。イランの石油利権は20世紀初めにイギリス系企業が獲得した。

覚えるポイント

  • タバコ・ボイコット運動は1891年、カージャール朝下のイラン
  • 英への利権譲渡にウラマーと商人が抵抗し、撤回に成功
  • 成功体験がイラン立憲革命(1905〜11年)につながる

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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