RN6-052|公共・倫理 対策問題
ヘーゲルが市民社会を「欲望の体系」と呼んだことの説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 3
正解
各人が自己の利益を追求して結びつく経済社会であり、共同性が失われた人倫の喪失態と位置づけた
この問題のポイント
人倫の三段階における市民社会の位置づけを問う問題。「欲望の体系」「人倫の喪失態」という否定的な規定の意味を理解しているかがポイント。
解説
ヘーゲルのいう市民社会とは、身分制から解放された個人が、それぞれ自己の欲望の充足と利益を追求しながら、分業と交換を通じて相互に依存し合う近代の経済社会である。各人は他人を自己の欲望を満たす手段として利用し合うため、社会全体は「欲望の体系」をなす。
そこでは個人の自立が実現する一方、家族が持っていた愛による共同性は失われる。この意味でヘーゲルは市民社会を「人倫の喪失態(分裂態)」と呼んだ。
しかし市民社会は否定されるだけのものではない。個人の自立という成果は保存され、市民社会の分裂が止揚されることによって、共同性と自立性を統一した国家という人倫の完成態へ至る。市民社会の限界の分析は、後のマルクスの資本主義批判にも影響を与えた。
ひっかけポイント
市民社会は人倫の完成態ではなく喪失態であり、完成態は国家である。この位置づけの入れ替えが定番のひっかけ。
選択肢の確認
①「市民社会では人々の欲望が完全に消滅し、無私の共同体が実現するとした」
❌ 誤り。
誤答理由: 市民社会はまさに欲望の追求によって成り立つ社会であり、欲望が消滅するという記述は正反対である。
②「愛情で結ばれた家族のことを欲望の体系と呼んだ」
❌ 誤り。
誤答理由: 欲望の体系と呼ばれたのは市民社会であり、愛によって結ばれる自然な共同体である家族ではない。
③「各人が自己の利益を追求して結びつく経済社会であり、共同性が失われた人倫の喪失態と位置づけた」
✅ 正しい。
正解。ヘーゲルは市民社会を、各人が自己利益を追求し合う欲望の体系とみなし、共同性を失った人倫の喪失態と位置づけた。
④「市民社会こそが共同性と個人の自立を完全に統一した人倫の最高の完成形態だとした」
❌ 誤り。
誤答理由: 市民社会を人倫の完成形態とする記述は誤りで、ヘーゲルが人倫の完成態としたのは国家である。
覚えるポイント
- 市民社会=欲望の体系(自己利益を追求する経済社会)
- 自立を得るが共同性を失う人倫の喪失態
- その分裂を止揚したものが国家
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。