RN7-037|公共・倫理 対策問題
荻生徂徠の学問が後世に与えた影響の説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 3
正解
道徳から独立した制度・政策の学として政治を論じる経世論の先駆となり、経世済民の学問観を広めた
この問題のポイント
徂徠学の意義=政治と道徳の分離、経世論の成立を問う問題。
解説
荻生徂徠が道を先王の作為した制度と捉えたことは、日本の学問史に大きな転換をもたらした。
第一に、政治を個人の道徳的修養の延長としてではなく、制度や政策の設計の問題として論じる視点が生まれた。これにより、社会の現実を対象とする経世論(経世済民の学)が独立した領域として成立し、太宰春台ら徂徠門下や、後世の経済論・政策論の展開につながった。徂徠自身、『政談』で武士の土着や制度の整備といった具体策を将軍吉宗に提言している。
第二に、道徳と切り離された学問の専門化は、詩文をそれ自体として味わう文芸の自立も促した。
さらに、規範を古代の原典に即して実証的に読む方法は、賀茂真淵や本居宣長ら国学の古典研究の方法にも刺激を与えたとされる。
ひっかけポイント
徂徠は「修身から経世へ」の転換であり、心の修養への回帰と逆にする選択肢が定番。蘭学の翻訳(杉田玄白ら)や踊念仏(一遍)は別系統の事績。
選択肢の確認
①「オランダ語の解剖書の翻訳を通じて、実証的な医学の発展を主導した」
❌ 誤り。
誤答理由: オランダ語解剖書の翻訳による医学の発展は杉田玄白ら蘭学者の事績であり、儒学者徂徠とは別系統である。
②「踊念仏による民衆布教の方法を各地に広めた」
❌ 誤り。
誤答理由: 踊念仏による民衆布教は鎌倉時代の一遍の事績であり、江戸中期の徂徠とは時代も分野も異なる。
③「道徳から独立した制度・政策の学として政治を論じる経世論の先駆となり、経世済民の学問観を広めた」
✅ 正しい。
正解。徂徠学は道徳から独立して制度・政策を論じる経世論の先駆となり、経世済民の学問観を広めた。『政談』はその実践である。
④「個人の心の修養をいっそう重視する方向へ儒学を導き、政治への関心を退けた」
❌ 誤り。
誤答理由: 徂徠は学問の重心を個人の修身から政治・制度へ移したのであり、心の修養重視へ導き政治への関心を退けたという記述は逆である。
覚えるポイント
- 政治を制度・政策の問題として論じる経世論の先駆
- 経世済民が学問の目的とされた
- 実証的な古典研究の方法は国学にも影響
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 因果の向きを確認:時期が近いだけで結び付けず、「原因→政策・行動→結果」の順に置き、主体と目的がつながるかを確かめる。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。