RN8-038|公共・倫理 対策問題
ロールズの正義論の説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 1
正解
自分の地位や能力を知らされない無知のヴェールの下で全員が合意するはずの原理を、公正な正義の原理とした
この問題のポイント
ロールズの公正としての正義の導き方を問う。原初状態と無知のヴェールという思考実験によって正義の原理を正当化した点が核心。
解説
ロールズは20世紀アメリカの政治哲学者で、主著『正義論』によって規範的な正義の理論を復興させた。
彼が批判したのは功利主義である。社会全体の幸福の最大化を基準とすれば、多数の利益のために少数者の自由や利益が犠牲にされることを止められない。そこでロールズは、社会契約説を現代的に再構成し、公正としての正義を構想した。
その方法が原初状態という思考実験である。人々が、自分の身分・財産・才能・価値観などを一切知らされない無知のヴェールをかぶって社会の基本ルールを選ぶとしたらどうなるか。誰も自分に有利な原理を仕込めず、また自分が最も不遇な立場になる可能性を考慮するから、そこで全員が合意する原理は公正だといえる。こうして導かれたのが、平等な自由の原理と、機会均等および格差原理からなる正義の二原理である。手続の公正さによって原理を正当化した点が画期だった。
ひっかけポイント
幸福の総量の最大化はロールズが批判した功利主義。最小国家はノージック、共通善はサンデルの立場で、いずれもロールズをめぐる論争の相手方である。
選択肢の確認
①「自分の地位や能力を知らされない無知のヴェールの下で全員が合意するはずの原理を、公正な正義の原理とした」
✅ 正しい。
正解。ロールズは、無知のヴェールの下の原初状態で全員が合意するはずの原理を公正な正義の原理とし、公正としての正義と呼んだ。
②「社会全体の幸福の総量を最大にする制度こそが正義にかなうとした」
❌ 誤り。
幸福の総量の最大化を基準とするのは功利主義であり、少数者の犠牲を許しかねないとしてロールズが批判した立場である。
③「国家の役割を防衛や治安の維持に限る最小国家のみが正当であるとした」
❌ 誤り。
最小国家のみを正当とするのはノージックのリバタリアニズムであり、ロールズの正義論への批判者の主張である。
④「共同体で歴史的に共有されてきた共通善の実現を正義の基準とした」
❌ 誤り。
共同体の共通善を正義の基準とするのはサンデルらコミュニタリアニズムの立場であり、ロールズの方法ではない。
覚えるポイント
- 公正としての正義=無知のヴェール下の合意で正当化
- 功利主義による少数者の犠牲を批判
- 主著『正義論』、社会契約説の現代的再構成
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。