RN-B7-01公共・倫理 対策問題

倫理B 西洋近現代思想(7) 現代の思想

ロールズの正義論についての説明として最も適切なものはどれか。

解答・解説を見る

正解: 1

正解

ロールズは、自分の境遇や能力を知らされない無知のヴェールの下での合意という思考実験によって、公正としての正義の原理を導いた

この問題のポイント

現代の正義論を問う問題。「無知のヴェール」という思考実験の意味と、格差原理の正確な内容(不平等の全面禁止ではない)がわかれば解ける。

解説

ロールズは『正義論』で、功利主義を批判して公正としての正義を構想した。全体の幸福の最大化を目指す功利主義は、少数者の犠牲を正当化しかねないからである。
ロールズは社会契約説を現代的に再生させる。人々が、自分の財産・才能・社会的地位などを一切知らされない無知のヴェールをかけられた原初状態で社会のルールを選ぶなら、誰もが自分が最も不遇な立場になる可能性を考えて、公正な原理に合意するはずだと論じた。
そこで合意される原理が、

  • 第一原理:すべての人に平等な基本的自由を保障する
  • 第二原理:社会的・経済的不平等は、公正な機会均等の下で、最も不遇な人々の利益を最大にする場合に限って許される(格差原理
    である。不平等を全面的に禁止するのではなく、条件つきで認める点が重要である。
    なおセンは、財の分配だけでなく、人が実際に何をなしうるかという**潜在能力(ケイパビリティ)**の平等に注目すべきだと論じ、ロールズの議論を発展させた。

ひっかけポイント
ロールズは功利主義の擁護者ではなく批判者。格差原理は「不平等の全面禁止」ではなく「最も不遇な人の利益になる限り許容」。センのケイパビリティは財の分配だけでは足りないという主張である。

選択肢の確認

①「ロールズは、自分の境遇や能力を知らされない無知のヴェールの下での合意という思考実験によって、公正としての正義の原理を導いた」
正しい。
正解。ロールズは無知のヴェールの下の原初状態という思考実験から、公正としての正義の二原理を導いた。

②「ロールズは、社会全体の幸福の総量を最大化することが正義であるとして、功利主義を擁護した」
誤り。
誤答理由: ロールズは、全体の幸福の最大化が少数者の犠牲を正当化しかねないとして功利主義を批判した。擁護ではない。

③「センは、財の平等な分配さえ実現すれば、人が実際に何をなしうるかを問う必要はないと説いた」
誤り。
誤答理由: センは財の分配だけでなく、人が実際に何をなしうるかという潜在能力(ケイパビリティ)に注目すべきだと説いた。

④「ロールズの格差原理とは、社会的・経済的不平等はいかなる場合にも許されないとする原理である」
誤り。
誤答理由: 格差原理は、不平等が最も不遇な人々の利益を最大にする場合に限って許されるとするものであり、不平等の全面禁止ではない。

覚えるポイント

  • 無知のヴェール・原初状態から公正な原理を導く
  • 格差原理=不平等は最も不遇な人々の利益になる場合のみ許容
  • セン=潜在能力(ケイパビリティ)の平等を重視

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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