RN9-007|公共・倫理 対策問題
次の資料は、ある思想家と弟子の問答である。「弟子の子貢が、一言で生涯行っていくべきものがあるでしょうかと尋ねた。先生は答えた。それは恕であろうか。自分が望まないことを、他人に対して行ってはならない(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 4
正解
他人を自分のことのように思いやる心が、人を愛する仁の実践の核心であるという考え方
この問題のポイント
孔子の説く恕(思いやり)の資料読解。恕が仁の実践の中心であることを、他学派の主張と区別して読み取る。
解説
資料は『論語』にある孔子と子貢の問答の要旨である。孔子の思想の中心は、人と人との間の自然な親愛の情である仁である。
仁の内実として、孔子は自分を偽らない真心である忠と、自分の心を推しはかって他人を思いやる恕を挙げた。資料の「自分が望まないことを他人に行うな」は恕の説明として最も有名な言葉である。
仁という内面の徳が、行動や態度として外に表れたものが礼であり、孔子は仁と礼を兼ね備えた君子を理想の人間像とした。
また、為政者が徳によって民を感化する徳治主義を政治の理想とし、その教えはのちの儒家に受け継がれた。
ひっかけポイント
墨子の兼愛(無差別の愛)との対比が定番。孔子の仁は肉親への孝悌を出発点に押し広げられる愛である点が異なる。
選択肢の確認
①「人為的な道徳や礼を捨て去り、あるがままの自然に従って生きるべきだという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 人為的な道徳を捨てて無為自然に生きることを説いたのは老子であり、仁と礼による人倫の道を重んじた孔子の立場とは対立する。
②「人間の本性は悪であるから、聖人の定めた礼によって矯正しなければならないという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 性悪説と礼による矯正は荀子の主張であり、思いやりの心を説く資料の内容とは異なる。
③「自他や親疎の区別なく、すべての人を等しく愛する兼愛によって争いをなくすべきだという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 無差別の愛である兼愛を説いたのは墨子であり、孔子の仁は肉親への愛を出発点に押し広げる愛である点で異なる。
④「他人を自分のことのように思いやる心が、人を愛する仁の実践の核心であるという考え方」
✅ 正しい。
正解。資料は恕についての『論語』の問答であり、自分の心を推しはかって他人を思いやる恕が、忠とともに仁の実践の核心とされる。
覚えるポイント
- 仁の実践の核心は忠(真心)と恕(思いやり)
- 仁が外面に表れたものが礼
- 理想の人間像は君子、政治の理想は徳治主義
共通テスト攻略
- 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
- 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。