RN9-029公共・倫理 対策問題

倫理C 日本の思想(3) 近世の思想(儒学・国学・民衆思想)

次の資料は、ある学者の主張である。「歌や物語の本意は、もののあはれを知ることにある。うれしいこと、悲しいことに触れて心が動くままに感じるのが人の真心である。理屈で善悪をさばく漢意を捨てて、生まれつきのままの真心に立ち返るべきである(要旨)」。この主張をした人物として最も適切なのは誰か。

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正解: 4

正解

本居宣長

この問題のポイント

もののあはれ・漢意・真心というキーワードから本居宣長を特定できるかが問われる。国学の系譜の中での識別が軸。

解説

資料は国学の大成者本居宣長の主張の要旨である。宣長は『源氏物語』の研究から、文芸の本質は教訓ではなく、物事に触れて自然にわき起こるしみじみとした感動、すなわち「もののあはれ」を知ることにあるとした。
そして、儒教や仏教の理屈によって善悪をさばこうとする心のあり方を「漢意(からごころ)」と呼んで退け、生まれつきのありのままの心である「真心(まごころ)」に立ち返ることを説いた。
宣長は35年をかけて『古事記伝』を完成させ、古代日本人の素直な心(惟神の道)を明らかにしようとした。
師の賀茂真淵は『万葉集』に男性的でおおらかな「ますらをぶり」を見いだしたのに対し、宣長は『古今和歌集』などの女性的で優美な「たをやめぶり」を重んじた点も対比として重要である。

ひっかけポイント
万葉集とますらをぶりの賀茂真淵、復古神道の平田篤胤との識別が定番。もののあはれ・漢意・真心・古事記伝は宣長である。

選択肢の確認

①「賀茂真淵」
誤り。
誤答理由: 賀茂真淵は『万葉集』に男性的なますらをぶりを見いだした宣長の師であり、もののあはれ論を展開した資料の主ではない。

②「荻生徂徠」
誤り。
誤答理由: 荻生徂徠は先王の道を経世済民の制度とみた古文辞学の儒学者であり、国学のもののあはれ論とは学問の系統が異なる。

③「平田篤胤」
誤り。
誤答理由: 平田篤胤は宣長の死後の門人を称し復古神道を大成した人物であり、資料の文芸論の主張者ではない。

④「本居宣長」
正しい。
正解。もののあはれを文芸の本意とし、漢意を排して真心に立ち返ることを説いたのは、『古事記伝』を著した国学の大成者本居宣長である。

覚えるポイント

  • もののあはれの文学論は本居宣長
  • 漢意を捨てて真心に返ることを説いた
  • 主著『古事記伝』、師の真淵はますらをぶり

共通テスト攻略

  • 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
  • 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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