RN9-065公共・倫理 対策問題

倫理D 現代の諸課題と倫理(1) 生命倫理

医師が、がんの告知は患者を絶望させるだけだと考え、本人に病名を伝えないまま、家族とだけ相談して治療方針を決めた。この医師の行動の説明として最も適切なものはどれか。

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正解: 4

正解

患者のためという善意からであっても本人の意思決定の機会を奪っており、パターナリズムとして自己決定権の観点から問題があるとされる行動である

この問題のポイント

事例をパターナリズムと判定できるかを問う。善意に基づくことと本人の自己決定を奪うことは両立するという点が核心。

解説

事例の医師は、患者本人に情報を与えず、本人抜きで治療方針を決めている。相手のためによかれと思って、本人の意思決定に代わって判断を下すこうしたあり方をパターナリズム(父権主義)という。
パターナリズムは悪意ではなく
善意
から行われることが多い。しかし、告知されなければ患者は自分の病気を知り、残された時間の過ごし方や治療の選択を自分で決める機会そのものを奪われる。現代の医療倫理は、患者の自己決定権の尊重を基本原理とし、インフォームド・コンセント(説明と同意)を求めており、事例のような対応は原則として問題があるとされる。
もっとも、本人が告知を望まない場合や判断能力が失われている場合など、自己決定の前提が揺らぐ場面をどう扱うかという難しい問題も残る。知らないでいる権利への配慮も含め、本人の意向の確認が出発点となる。

ひっかけポイント
善意であることを理由に正当化する選択肢が定番のひっかけ。動機の善し悪しではなく、本人の決定の機会を奪ったかどうかで判定する。

選択肢の確認

①「患者の自己決定権を最大限に尊重した、インフォームド・コンセントの模範的な実践である」
誤り。
誤答理由: 事例は本人への説明も本人の同意もなく方針を決めており、インフォームド・コンセントの実践とは正反対である。

②「患者のQOLを高めるために医学的に最も有効とされ、現代の医療倫理が推奨する標準的な対応である」
誤り。
誤答理由: 現代の医療倫理は本人の意思確認を原則としており、本人抜きの決定を標準的対応として推奨してはいない。

③「本人への告知を避けている以上、倫理的にも法的にも一切問題が生じることはない」
誤り。
誤答理由: 告知を避けたこと自体が本人の決定の機会を奪っており、問題が一切生じないという説明は誤りである。本人の意向の確認が出発点となる。

④「患者のためという善意からであっても本人の意思決定の機会を奪っており、パターナリズムとして自己決定権の観点から問題があるとされる行動である」
正しい。
正解。善意からであっても本人に情報を与えず本人抜きで方針を決めるのはパターナリズムであり、自己決定権とインフォームド・コンセントの原則から問題があるとされる。

覚えるポイント

  • 本人に代わる善意の決定がパターナリズム
  • 自己決定権とインフォームド・コンセントが現代の原則
  • 知らないでいる権利など本人意向の確認も重要

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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