RN9-073|公共・倫理 対策問題
誰でも自由に牛を放牧できる共有の牧草地で、各自が自分の利益を増やそうと牛を増やし続けた結果、牧草が食べ尽くされて全員が損失を被った。この共有地の悲劇と呼ばれるモデルが示す教訓として最も適切なものはどれか。
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正解: 1
正解
各人が自分の利益を合理的に追求するだけでは共有資源は守られず、資源の維持には利用のルールづくりや共同管理が必要である
この問題のポイント
共有地の悲劇のモデルが示す、個人の合理性と全体の利益の食い違いという構造を読み取れるかを問う。
解説
共有地(コモンズ)の悲劇は、生物学者ハーディンが提示したモデルである。共有の牧草地では、牛を1頭増やす利益はその持ち主が独占するが、牧草が減る損失は利用者全員で分担される。だから各人にとっては牛を増やすことが合理的になる。しかし全員が同じように行動すれば、牧草地は荒廃し全員が損をする。
このモデルの教訓は、個人の合理的な利益追求の積み重ねが、社会全体では非合理な結果を招く場合があるということである。大気・海洋・漁業資源・地球環境そのものなど、誰のものでもない共有資源には同じ構造があてはまり、地球温暖化はその典型とされる。
したがって共有資源の維持には、利用のルールづくり、当事者による共同管理、国際的な協調の枠組みなどが必要になる。各自の善意や自由放任に任せるだけでは環境は守れない、という環境倫理・環境政策の基本認識を示すモデルである。
ひっかけポイント
個人の合理性がそのまま全体の利益になるという見方が定番の誤り。合理的な個人の行動が全体の破綻を招く構造こそが悲劇の核心。
選択肢の確認
①「各人が自分の利益を合理的に追求するだけでは共有資源は守られず、資源の維持には利用のルールづくりや共同管理が必要である」
✅ 正しい。
正解。共有地の悲劇は、各人の合理的な利益追求の合計が共有資源の崩壊という全体の損失を招くことを示し、資源維持にはルールづくりや共同管理が必要だという教訓を与える。
②「共有資源は各人が自由に利用すればするほど自然に増えていくので、規制は一切不要である」
❌ 誤り。
誤答理由: 自由な利用の放任こそが資源の枯渇を招くというのがモデルの結論であり、規制不要という説明は正反対である。
③「共有地の悲劇は牧草地だけに当てはまる特殊な現象であり、大気や海洋などの環境問題とは無関係である」
❌ 誤り。
誤答理由: このモデルは大気・海洋・漁業資源など共有資源一般に当てはまり、地球温暖化は現代の典型例とされる。牧草地限定という説明は誤りである。
④「個人の合理的な行動は常に社会全体の利益と一致するので、悲劇が起こることはあり得ない」
❌ 誤り。
誤答理由: 個人の合理性と全体の利益が食い違う場合があることを示すのがこのモデルの核心であり、常に一致するという説明はモデルの否定である。
覚えるポイント
- 共有地の悲劇はハーディンが提示したモデル
- 個人の合理的行動の合計が全体の損失を招く
- 共有資源にはルールと共同管理が必要
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 因果の向きを確認:時期が近いだけで結び付けず、「原因→政策・行動→結果」の順に置き、主体と目的がつながるかを確かめる。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。