RN9-096公共・倫理 対策問題

倫理A 人間としての在り方生き方(1) 青年期の課題と自己形成

エリクソンのいう心理・社会的モラトリアムについての説明として最も適切なものはどれか。

解答・解説を見る

正解: 4

正解

青年が社会的な義務や責任を一時的に猶予され、様々な役割を試みながらアイデンティティを形成していく準備期間のこと

この問題のポイント

モラトリアムの心理学的な意味を問う。支払い猶予という原義から転じた、青年期の役割実験の期間という理解が核心。

解説

モラトリアムとは、もともと戦争や恐慌の際に債務の支払いを猶予する経済用語である。エリクソンはこれを転用し、青年期を、大人としての社会的な義務や責任を一時的に猶予されている期間、すなわち心理・社会的モラトリアムと呼んだ。
この猶予期間に青年は、進学・部活動・アルバイト・恋愛・読書など様々な経験を通じて、複数の価値観や役割を試す役割実験を行い、自分に合った生き方を探りながらアイデンティティの確立へ向かう。モラトリアムは単なる怠けの期間ではなく、自己形成のための積極的な準備期間と位置づけられている。
なお、日本の精神分析学者小此木啓吾は、高学歴化などで猶予期間が延び、大人になることを先延ばしにし続ける現代の青年像をモラトリアム人間と呼んで論じた。原義との混同や、猶予期間の意味の取り違えに注意したい。

ひっかけポイント
経済用語としての原義(支払い猶予)と心理学的な転用の混同が定番。青年期の役割実験の期間という意味で判断する。

選択肢の確認

①「青年が借り入れた奨学金の返済を国が免除する経済上の制度のこと」
誤り。
誤答理由: 支払い猶予はモラトリアムの経済用語としての原義であり、エリクソンが青年期について用いた心理学的な意味とは異なる。

②「青年期に達した者が直ちに就職して社会的責任を果たすことを義務づける制度のこと」
誤り。
誤答理由: モラトリアムは責任の猶予の期間であり、直ちに就職と責任を義務づけるという説明は正反対である。

③「老年期において人生を振り返り、死を受容していく心理的過程のこと」
誤り。
誤答理由: 人生の振り返りと統合は老年期の発達課題に関わる内容であり、青年期の猶予期間の説明ではない。

④「青年が社会的な義務や責任を一時的に猶予され、様々な役割を試みながらアイデンティティを形成していく準備期間のこと」
正しい。
正解。心理・社会的モラトリアムは、社会的な義務や責任を猶予された青年が、役割実験を重ねながらアイデンティティを形成していく準備期間を指す。

覚えるポイント

  • モラトリアムは社会的責任の猶予期間
  • 役割実験を通じてアイデンティティを形成する
  • 小此木啓吾のモラトリアム人間も関連用語

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

関連問題

RN9-095RN9-097