WT2-C01|歴史総合・世界史探究 対策問題
アッバース朝の都バグダードについて述べた文として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 3
正解
交易路の結節点に建設され、「知恵の館」で古代ギリシアの学問が翻訳された
この問題のポイント
アッバース朝の都バグダードの性格を問う問題。「交易の結節点の大都市」と「知恵の館でのギリシア語文献翻訳」の2点で解ける。
解説
750年にウマイヤ朝を倒したアッバース朝は、アラブ人の特権を廃してムスリムの平等を実現し、イスラーム帝国と呼ばれる体制を築いた。第2代カリフマンスールは762年、ティグリス川沿いに新都バグダードを建設した。
バグダードは円形の城壁をもつ計画都市(円城)で、陸と川の交易路の結節点という立地から急速に発展し、最盛期には人口100万を超えたとされる。唐の長安と並ぶ当時世界最大級の都市である。
9世紀、カリフのマームーンが設立した「知恵の館(バイト・アルヒクマ)」では、古代ギリシアの哲学・医学・数学などの文献がアラビア語へ組織的に翻訳された。これにインドのゼロの概念などが加わり、イスラーム世界の学問は当時の世界最高水準に達した。
これらのアラビア語文献は、のちに12世紀のヨーロッパでラテン語へ重訳され(12世紀ルネサンス)、西欧の学問復興を支えた。ギリシア→アラビア→ヨーロッパという知の還流ルートが最大の論点である。
ひっかけポイント
バグダードは内陸のティグリス川沿いの都市で、地中海に面した港湾都市という記述は誤り。イスラーム世界ではキリスト教徒も庇護民(ジンミー)として居住しており、居住禁止も誤り。
選択肢の確認
①「キリスト教徒の居住が禁止された宗教都市だった」
❌ 誤り。
イスラーム世界ではキリスト教徒やユダヤ教徒は啓典の民として納税により信仰を認められ、バグダードにも居住していた。
②「人口数百人の小さな軍事拠点だった」
❌ 誤り。
バグダードは人口100万を超えたとされる当時世界有数の大都市であり、小さな軍事拠点という説明は実態と合わない。
③「交易路の結節点に建設され、「知恵の館」で古代ギリシアの学問が翻訳された」
✅ 正しい。
カリフのマンスールが建設した円城都市バグダードは交易路の結節点として栄え、9世紀の知恵の館ではギリシア語文献のアラビア語翻訳が組織的に行われた。
④「地中海に面した港湾都市だった」
❌ 誤り。
バグダードはティグリス川沿いの内陸都市であり、地中海に面してはいない。
覚えるポイント
- バグダードはマンスールが762年建設した円城都市
- 知恵の館(9世紀)でギリシア語文献をアラビア語訳
- 知の還流=ギリシア→アラビア→12世紀ルネサンスで欧州へ
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。