WT9-S19|歴史総合・世界史探究 対策問題
「歴史の資料」としての貨幣の使い方として最も適切なものはどれか。
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正解: 3
正解
刻まれた肖像・銘文や出土分布から、権力のあり方や交易の範囲を読み取る
この問題のポイント
モノ資料としての貨幣の読み方を問う。肖像・銘文から権力を、出土分布から交易圏を読み取るという資料活用の型が核心。
解説
前提として、歴史の資料は文書だけではない。貨幣・陶磁器などのモノ資料も、読み方しだいで多くを語る一級の資料である。
貨幣からは複数の情報が読み取れる。
- 肖像・銘文:ローマの貨幣には皇帝の肖像が刻まれ、権力の宣伝媒体だった。イスラームの貨幣は偶像を避けて銘文のみであり、宗教の性格を映す
- 出土分布:ローマ金貨がインドで出土することは季節風貿易の証拠となり、日本各地で出土する宋銭・明銭は日中貿易と日本の貨幣経済化を物語る
- 品質の変化:銀含有率の低下から国家財政の悪化も推定できる
つまり貨幣は経済だけでなく、政治・宗教・交易圏まで横断して語る。金属価値しか示さない、偽造品ばかり、という選択肢は資料としての価値を否定する誤りである。
ひっかけポイント
貨幣=経済資料という狭い見方を超え、権力(肖像)・宗教(銘文)・交易圏(出土分布)まで読み取るのが正しい型。ローマ金貨のインド出土は定番の事例。
選択肢の確認
①「貨幣からは経済のことしか分からない」
❌ 誤り。
刻まれた肖像や銘文からは権力の正統性や宗教観も読み取れるため、経済のことしか分からないという説明は誤りである。
②「現存する貨幣はすべて偽造品である」
❌ 誤り。
各地の遺跡から本物の貨幣が多数出土しており、すべて偽造品という説明は事実に反する。
③「刻まれた肖像・銘文や出土分布から、権力のあり方や交易の範囲を読み取る」
✅ 正しい。
貨幣は皇帝の肖像やカリフの銘文から権力と宗教のあり方を、出土分布から交易圏を読み取れる一級の資料であり、日本で出土する宋銭は日中貿易の証拠となる。
④「貨幣は金属の価値だけを示すもので歴史資料にはならない」
❌ 誤り。
貨幣は肖像や銘文、出土分布から政治や宗教、交易を読み取れる史料であり、金属の価値だけを示すものではない。
覚えるポイント
- 肖像・銘文から権力と宗教のあり方を読む
- 出土分布から交易圏を読む(ローマ金貨がインドで出土)
- 日本出土の宋銭・明銭は日中貿易の証拠
共通テスト攻略
- 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
- 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。